トラブル退社法

困った質問の対応方法

取材中には、記者は必ずあらゆる角度からの質問を投げかけてきます。企業側が想定していない範囲の質問もしてきます。ですから、事前に会社にとってリスクある質問と回答の準備をしておきましょう。

記者が勝手に作ったストーリーで取材をされる

「取材を断ることも視野に入れて」

広報が事前に記者に対して取材の内容や狙いを把握しておけば、ある程度記者側が「特定のストーリー」にしか興味を持っていなかったり、取材側に記者の作ったストーリーを「補強するコメント」しか求めていないことが分かる場合もあります。記者の用意したストーリーが会社側にとって好ましいものではない場合は、<断る>ことも検討しましょう。なお、その場合は、記者が勝手に役員宅などへ取材に行く可能性もあります。関係部署への連絡と注意を忘れないようにしましょう。

「毅然とした態度で対応しよう」

また、取材中に事前の打ち合わせとはまったく違った質問をしてくるときがあります。その場合は、広報、あるいはスポークスパーソンが、「××さん(記者)は、○○のことにご関心が強いようですが、現在それに関してまったく話すことはございません。本日は△△の内容の取材となっていましたので、そちらについてはいろいろと聞いていただきたいことがございまして・・・」と切りかえしましょう。とくに、まだ決まってないことについては、具体的にコメントをしてはいけない、ということを注意しておきます。たとえば、提携パートナーと交渉中であれば、先方の名前を出してはいけませんし、「××社ですよね?」と質問を受けても、うなずいたり、首を横に振ったり、ジェスチャーでも相手に伝えてはいけません。「固有名詞」「具体的な数字」には特に注意をはらいましょう。変にごまかしたりもしてはいけません。それでも食い下がってきてその質問に固執する場合は、取材を中止することも視野に入れておきましょう。

「回答は慎重に」

さらに、まったく違ったテーマの質問に固執する記者もいます。しかし、企業にとってリスクのある情報でも、積極的に開示した方がいい場合もあります。もちろん、そのリスクについて漫然と答えてしまうのではありません。現在予測できるリスクがどのようなものということが分かっていて、将来どうなるだろうという予測が損害額やリスクの頻度など具体的に数字で表されており、それにたいする予防・対策・回避策も述べることができるのであれば、リスクに対して真正面から取り組み、リスクマネジメントの意識が高い企業として広く評価されることにつながります。
しかし、その場で答えてよいか即決に困る場合もあると思います。そのときは「○○(記者)さんのご関心は分かりました。しかし、今その返答をするかは迷うところがありますので、社内で検討し、後日必ず返答いたします。よろしければ、今は話をもとへ戻してもよろしいでしょうか」といったように、一旦留保して、再度検討してから回答しましょう。

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記者が勝手に作ったストーリーで取材をされる

取材を受けて、記事になってもその内容が誤報だったという可能性は、報道にはつきものです。そのときは、間違った記事を書いた記者に、説明をするのが最良策といえます。

「誤報」の内容としては

  1. 製品名や金額などの数字といった事実に誤りがある場合
  2. 発表内容と違った受け取り方をされた場合
  3. 文章の解釈の仕方では違ったように受けたられてしまう場合

などが挙げられるでしょう。

1の場合は、単純な校正ミスと考えられ、記事を書かれた会社に重大な被害が出かねないケースに限っては、訂正記事を出すと考えられます。
しかし、2や3の場合は、抗議をしても、「記者がこのように受け取ったので」と言い切られてしまうのが落ちです。1の場合で、さらに重大な被害が出ることが予測される場合でなければ、訂正記事を掲載してもらうのは難しいと考えましょう。
それでは、書かれっぱなしで泣き寝入りなのか、というとそうでもありません。違った方法を探ってみましょう。
まずは、誤報記事を書いた記者と広報責任者が話し合いましょう。激昂して相手の記者を敵にまわしては今後の付き合いにも支障が出ます。ですから、真摯な態度で冷静に「我が社はあなたの記事のおかげで大問題になっています」と伝えれば、今後は気をつけてくれるはずです。2や3の場合でも、「あなたの記事の内容が社内で問題になっています」や「取締役はこのような意味で言ったのではありません。実際にこのようなご指摘は当社では行われませんよ」と言いましょう。しかし、やみくもに「間違っている」とクレームをつけても反発される可能性もありますから、注意が必要です。
いずれにしても、注意を促したうえで、「今度、違うネタを用意しますから、そのときに、わが社の認識を改めて書いてもらえませんか」と打診してみましょう。記者にしても、誤りを指摘されては、内心焦っているでしょう。ですから、むやみに「訂正記事を」とせまるよりも、次のネタで挽回を!と持ちかけたほうが間違いなく記者も対応してくれるはずです。

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